熊本都市圏ではバスの利用者数は最盛期の1/4にまで,直近10年間に限っても3割も減少している.収支の悪化のために,不採算路線の廃止や便数の削減が行われている.また,高齢化や低賃金による運転手不足は深刻な状況にあり,車両はあっても運行できない状況となっている.自治体としては市民の移動を保証するための新たなモビリティの導入や財政的な支援を行いたいが,その妥当性の評価や理論的な理由付けはなされていない.
本研究では, 1)シェアリングエコノミーにおける経済主体の行動・競争メカニズムの解明と厚生評価,2) 都市経済学に基づく移動サービスの提供が交通弱者に与える経済厚生の計測,3) 労働経済学に基づく運輸関連労働環境の改善の厚生評価とその実施方策,4) 新たな地域モビリティとMaaS(Mobility as a Service)の導入評価の視点から,地域モビリティ共創のあり方についての理論的,実践的研究を行う.