家庭児童相談室の窓から  今回の熊本地震に際して、当相談室はほとんど被害を受けませんでした。地震後、本棚が倒れてガラスが散乱しているのではないかと、おそるおそる相談室の扉を開けましたが、割れ物どころか、壊れた物もなく、安堵しました。よく見ると、壁のクロスに無数のひびが走っていますが、注視しなければ気づかない程度です。本当に幸運でした。  地震後しばらくの間、本学は部外者の立ち入り禁止となったので、相談室の掃除と片づけをしていました。当相談室の開設は1966年、この研究棟に面接室が置かれたのが1983年。本棚の本や書類が落ちたり崩れたりしたので整理していると、普段見ることのない昔の資料が次々と出てきます。途中何度となく手が止まり、見入ってしまいました。  開設当初、他大学を訪問して大学付属の相談室の情報を集めたり、心理検査の用具等をそろえたりしています。薄茶色に変色した当時の書類からは、充実した相談室にしようという当時の担当者たちの心意気がひしひしと伝わってくるのでした。  わたしが相談員になってから、心理テストを使用することはなく、もっぱら相談者のお話をお聴きするやり方です。この数年は、子どもさんのご相談より、ご家族やご夫婦のご相談が増えてきました。時代とともに相談室の有り様は変わっています。  今年は当相談室の設置からちょうど50年。半世紀にわたる相談室の歴史を振り返ったひとときでした。 (家庭児童相談室 相談員 砂川真澄) 発行所 熊本学園大学付属社会福祉研究所     〒862−8680 熊本市中央区大江2−5−1 ☎ 096−364−5161(代) 発行人 所長 守弘仁志  編集人 社会福祉研究所委員会 印刷所 コロニー印刷 ☎ 096−353−1291 ■古紙再生率100%の再生紙を利用しています。 ■揮発性有機化合物発生の抑止と紙のリサイクル性に優れた「大豆インキ《を使用しています。