12ページ 家庭児童相談室の窓から  農水省の元事務次官が息子を刺したとして逮捕された事件。新聞に「相談できず、家族孤立か」という見出しがありました。(6月4日付「熊本日日新聞」朝刊)。この事件の被害者は引きこもりがちで、親に暴力を振るっていたと報じられています。一般的に家族内の暴力は閉鎖的な空間で繰り返されて深刻化しやすいうえに、外部に相談しにくいものです。  こういう事件報道に接すると、「相談」という行為が、家族の悩みを抱えている方にとって、どれほどハードルが高いものなのかを改めて感じさせられます。  わたしは時折、小中学生に話をすることがありますが、「困ったときはだれかに相談してよいことがわかりました」といった感想をしばしばアンケートに見かけます。子どもたちは自分のことは自分でするように、という指導を受けているのでしょう。  だれかに助けを求めるというハードルを少しでも下げるには、「相談して解決した」という成功体験を子ども時代から積み重ねることが大切だと思います。「困ったことがあったら、相談してね」と子どもたちに伝えましょう。そして、子どもの話を上手に聴いて支援できるおとなを増やしましょう。 (家庭児童相談室 相談員 砂川真澄) 発行所 熊本学園大学付属社会福祉研究所     〒862?8680 熊本市中央区大江2-5-1  096-364-5161(代) 発行人 所長 黒木邦弘  編集人 社会福祉研究所委員会 印刷所 コロニー印刷  096-353-1291 ■再生紙を利用しています。 ■揮発性有機化合物発生の抑止と紙のリサイクル性に優れた「ベジタブルオイルインキ」を使用しています。