家庭児童相談室の窓から  今年の11月20日は子どもの権利条約国連採択30周年の記念日でした。日本が批准したのは1994年。今年は日本批准25周年にもあたり、子どもの支援に関わるわたしたちにとって特別な年です。  30年前は「子どもに人権なんてあるの?」という声も少なくありませんでしたが、現在、「子どもの人権」という言葉はすっかり市民権を得ているように見えます。ただ、正しく理解されているかはちょっと疑問です。というのも、人権啓発パンフレットなどを見ると、子どもの人権課題として挙げられているのは、子ども虐待、いじめ、子どもの貧困等、保護に関する内容に偏っていることが多いからです。今や「子どもの人権」に異論を挟む人を見かけなくなりましたが、それはおそらく、「子どもの人権」とはかわいそうな子どもを保護することだ、という狭い解釈が一般の人々の間に定着してしまったからではないでしょうか。  保護が必要な子どもを適切に保護することの重要性はいうまでもありませんが、この条約には差別の禁止や、子どもが自らに関係することについて意見を表す権利、さまざまな自由の権利も謳われています。これらの権利の理解を進めることが、これからの10年間の課題ではないかと思います。 (家庭児童相談室 相談員 砂川真澄) 発行所 熊本学園大学付属社会福祉研究所     〒862?8680 熊本市中央区大江2-5-1  096-364-5161(代) 発行人 所長 黒木邦弘  編集人 社会福祉研究所委員会 印刷所 コロニー印刷  096-353-1291 ■再生紙を利用しています。 ■揮発性有機化合物発生の抑止と紙のリサイクル性に優れた「ベジタブルオイルインキ」を使用しています。