所長挨拶FROM THE DIRECTOR
本研究所は1959(昭和34)年に、熊本の産業経営の発展向上に寄与することを目的として設立されました。これまで、熊本県および関連地域の産業・経済・企業経営に関する調査研究を行い、多くの研究業績を重ねてきました。これらの研究成果につきましては、所報『産業経営研究』、研究叢書、調査研究報告書等の刊行物を発表し、全国の主要大学や研究所等へ送付しております。またこのような研究機関としての機能を十分発揮できるよう資料の充実・整備に力を注いでおります。政府機関の各種統計書等のほか、九州・熊本地区や全国都道府県発行の資料等も数多く収集しています。
また、熊本県工業連合会、熊本県中小企業家同友会、熊本市シルバー人材センター等との産官学連携活動を行い、地域経済との一層の連携を深めています。その他、時機を得たテーマを選び、研究会、講演会、シンポジウム、ビジネスパーソンのための専門講座等も開講してきました。多くの地域住民の方にも参加していただき、地域に広く深く根ざした活動を行っています。
2019(令和元)年に研究所創立60周年を迎え、その記念としまして、「研究所60年の歩み」を刊行しました。多くの方々へ本研究所の取り組みを知っていただき、また、歴史を振り返ることで、今後のさらなる発展へと繋げたいと思っております。
近年、熊本の産業・経済を取り巻く環境は大きく変化しています。2011年九州新幹線の全線開通を経て、2012年に熊本市は政令指定都市へと移行し、国内外から観光や居住のために訪れたくなる「上質な生活都市」を目指されています。
しかし、2016年4月に発生した熊本地震は、多くの被災者を生みだし、それに追い打ちをかけるように、新型コロナウィルス感染症の拡大と、熊本経済に大打撃を与えました。
ただし、熊本県には、世界から注目されるTSMC の進出といった競争力のある製造業の集積のみならず、経済を支える大きな力として一次産業が存在しています。観光の面でも、国内外も含め観光客総数は増加傾向にあり、ホスピタリティ産業の役割も重要となってきていました。
本研究所は、このような激しく変化を続ける環境のもと、熊本の産業・経済の創造的な復興に貢献できるよう、鋭意研究に努めるとともに、産官学で連携しながら地域に根ざした活動を、グローバルな視点を持ちつつ取り組んでまいります。
2024年6月所長 伊津野 範博(商学部 教授)