本学研究センターと現地研究センター
水俣学研究センターは、「負の遺産」としての水俣病事件の全体像解明をベースに、新たな学術分野と方法論を開拓する「水俣学」プロジェクトの推進拠点です。2005年3月には、文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業オープン・リサーチ・センター整備事業として採択されています。本学と水俣の現地の2箇所を拠点に、水俣学の研究に取り組んでおります。
本学研究センター
本学研究センターは、熊本市大江の熊本学園大学キャンパスに設置された事務室、及び、研究室(14号館)、資料室(7号館)から成り、熊本学園大学学術文化部学術文化課との連携で、水俣学研究センターの本部機能を果たしています。
学内では毎年、正規科目としての「水俣学」講義が全学部学生に向けて開講されています。また、大学院社会福祉学研究科福祉環境学専攻では、「水俣学」を一つの柱としてユニークなカリキュラムが組み立てられています。
現地研究センター
水俣学現地研究センターは、大江キャンパスの水俣学研究センターと公害の原点・水俣をつなぐ教育・研究拠点としての位置づけで、2005年8月8日に開設されました。現地研究センターは、「水俣病被害の現状と再評価に関する健康・社会問題の調査研究(プロジェクト1)」、「水俣・芦北地域の再構築に向けた戦略的な政策提言を可能とするプラットフォームの設置(プロジェクト2)」、「水俣学関連資料の収集およびデータベース化と国内外への発信(プロジェクト3)」、という3つのプロジェクトの現地推進拠点としての役割を果たすと同時に、不知火海沿岸で有機水銀の影響を受けたすべての住民の健康問題・生活問題の相談窓口としての機能も果たしています。
また、福祉・環境・いのち・経済などをテーマとした「公開講座」も市民に広く参加を呼びかけて開催されてきました。更に、これからの水俣・芦北地域のあり方を探る「場(プラットフォーム)」としての機能も果たしつつあります。
2006年5月には、「負の遺産」としての水俣病事件をベースに、人間としての生き方、日々の暮らし、地域社会(教育,環境,福祉,経済,政治など)のあり様を問い直そうとする市民・NPO・研究者・民間事業者・行政職員など、多様な関係者の“出会いの場,学習の場,討議の場”であり,また,“新たな価値(生活文化)を創造する「場」”として位置づけられた「水俣・芦北地域戦略プラットフォーム」が、現地研究センターに開設されました。このプラットフォームは、水俣・芦北地域に暮らし、水俣病被害/事件に永年向き合ってきた全ての人々に開かれた「場」であり、現地研究センターは、地域の課題に取り組む様々なアクター・セクターを横に繋ぐ潤滑油としての機能を果たすことをめざしています。
現地研究センターは、本学の水俣学研究プロジェクトの研究員・大学院生の研究拠点であると同時に、国内外の研究者にも広く開放された施設として、また地元市民の皆さんにも気軽に足を運んでいただくことができる交流の場として活用していただきたいと考えています。
水俣市浜町の現地研究センターは、旧若草保育園を水俣市から借り受けて改装したもので、鉄筋コンクリート造2階建、延床面積300平方メートルの建物です。一階には展示、資料閲覧、談話スペース、2階には相談室、研究室、会議室が配置されています。正面玄関のスロープ、フラットな床、エレベーターの新設、赤外線補聴システムの設置など、バリアフリー/ユニバーサルデザインの視点からも可能な限りの配慮がなされています。