水俣学プロジェクト2

2018年度

第2プロジェクト
戦略的研究基盤形成支援事業のうち第二班は、「環境負債を克服し地域再構築にむけた評価および民主主義的合意形成をめざす社会的実証研究」をテーマとする計画に基づき、研究事業を継続した。具体的には、下記の通り。
【水俣・芦北地域戦略プラットフォーム】
水俣・芦北地域戦略プラットフォームには、世話人会メンバーとして水俣芦北公害研究サークル、一般社団法人環不知火プランニング、エコタウン協議会、エコネットみなまた、愛林館・頭石村丸ごと生活博物館、(有)国際水銀ラボに所属する人々が加わり、水俣市役所からは、環境課をはじめとする各課に所属する職員が関わり、多くの水俣・芦北地域の住民が議論に参加をしている。本年度は担当者の事情により開催出来なかった。
【水俣市環境モデル都市推進委員会】
本年度は開催されなかった。
【ゼロ・ウェイスト円卓会議】
本年度も引き続き、第1回が2018年11月5日に、第2回が12月18日に開催された。
また、「第6回 ゼロ・ウェイストまちづくり推進会議」(水俣市をはじめ、日本国内において「ゼロ・ウェイスト宣言」をおこなっている自治体の連携・情報交換を目的とする会議)が、本年度は福岡県大木町で開催され、例年通り、藤本が事前準備における自治体間の調整と当日のコーディネーターを担ったが、先述した、水俣での第1回ゼロ・ウェイスト円卓会議は、この「第6回 ゼロ・ウェイストまちづくり推進会議」の準備にかかわる議論が中心的内容であり、第2回ゼロ・ウェイスト円卓会議は「SDGs(持続可能な開発目標)勉強会」を主な内容として実施されているが、これは「第6回 ゼロ・ウェイストまちづくり推進会議」において、社会的な注目度が高まっている「SDGs」が、廃棄物政策を検討する上でも重要であり、その総合性や「ゴールの設定」という手法においてゼロ・ウェイストの概念・活動とも親和性が高いこと、さらに「地域再構築」を検討する上でも重要かつ有用な概念であることから、自治体間の共通課題として「SDGs」が議論されたことへの対応としてなされたものである。
【みなまた地域研究会】
本年度も引き続き、水俣市民とともに、水俣地域の環境をどうとらえていくのか、調査する活動に取り組んだ。昨年度から実施している水俣で漁業がどのように営まれてきたのか、現役の漁師からの聞き取りについては、鴨川強巳氏の経験を聞き取り、刊行した。あわせて、中村雄幸氏を中心に、水俣魚市場に水揚げされた魚の一覧表を作成した。
また、漁業をどう残していくのか、日本の海洋環境の現状と課題を学ぶために、国立環境研究所の堀口昌宏氏を招き、講演会を実施した。6月9日に、水俣湾及び不知火海を船で回り、翌10日には市民向けに講演会「化学物質の海の生き物‐環境ホルモンを中心に、震災・原発も含む」を開催した。日本近海での化学物質特に環境ホルモン物質による魚介類の汚染状況と福島第一原発事故で放出された放射性物質による漁業被害について、現状報告を受け、不知火海の環境をどう考えていけばよいのか、考え方の視点を得た。
更に、水俣市が計画している水俣川河口整備事業の中心事業であるチッソの産廃処分場である旧八幡プールの護岸、周縁道路が老朽化しているため、丸島新港に隣接する部分に九州自動車道建設工事で排出される残土で埋め立て、港湾施設を沖だしすることに関し、環境アセスメントの問題点、計画そのものの課題について、検討、意見交換した。
この間、実施してきた水俣市周辺の土壌や底質の環境調査にについて調査結果をまとめ、中地が『総合科学』に投稿した。

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