2020年度
第2プロジェクト「環境負債を克服し新たな地域再構築にむけた評価および民主主義的合意形成をめざす社会的実証研究」
【汚染サイトとしての水俣地域のリスク評価】
水俣湾埋立地エコパークの環境リスクの評価ならびに汚染サイトの修復に関する国際的な動向の把握し、将来提言につなげることを最終目標とし次のことに取り組んだ。水銀に関する水俣条約の締結国会議の動向等の情報収集を継続している。その一環で、被害者連絡会の学習会で、中地が、「水俣湾、不知火海の水銀汚染の現状と課題」を報告した(2021年2月19日)。
課題の実質化として、環境中の汚染物質(水銀)やとくに生活環境中の汚染物質(水銀)についてはみなまた地域研究会と連携した調査を実施してきた。その成果をさらに発展させるべく、水俣川河口部振興構想という形で実施されている八幡プール沖の埋め立て工事に関して、水俣市民が熊本県の公有水面埋立許可に対して不服申し立てを行っており、意見書作成に協力している。
【水俣病被害の検証、臍帯に関する調査研究】
その一環として、水俣市民の臍帯の収集と分析を進めてきた。これまでの分析結果が100個以上蓄積されているので、整理、データ分析が課題として残った。臍帯の水銀濃度に関して、義務付け訴訟弁護団からデータの評価に関して、中地に意見照会があり、関連資料を整理し、意見書を作成中である。
【水俣病資料館の設立経緯に関する調査】
第3回国際フォーラムに参加していただいた韓国の社会的惨事特別調査委員会から、コロナ禍で調査訪問できないため、水俣病資料館の建設経緯及び水俣市のもやい直しについての調査依頼があり、中地が水俣病資料館職員へのヒアリングと収集した資料を整理し、報告書を作成、送付した。
【水俣のまちづくり、風力発電計画への対応に関する協力】
水俣市周辺に大規模風力発電の建設計画が持ち上がり、風力発電の環境、並びに健康影響に関して問題点を整理・提示するとともに、大規模開発と地域における分散型エネルギー自給・自立の在り方についての議論に参画している。水俣・芦北地域の自然資本を活用した再生可能エネルギーのガバナンスについての議論にどうつなげて行くのかが今後の課題である。
【ゼロ・ウェイスト円卓会議の活動】
13年にわたって参与観察を続けている「ゼロ・ウェイスト円卓会議」は、コロナ禍によって開催されない状態が続いているが、水俣市担当者や構成メンバーとメール・電話・SNS等を通しての情報共有を継続しながら、時機を見てすみやかに開催することを確認している。
また、円卓会議に対するこれまでの調査成果を活かし、学会での研究報告を藤本が行っている(2020年9月17日第31回廃棄物資源循環学会研究発表会)。