第21期水俣学講義全15回終了いたしました
第21期水俣学講義を9月22日(木)から2023年1月19日(木)まで全15回終了いたしました。本年度も、水俣病の被害当事者、支援者、研究者、記者、医師など多彩な方々が講師を務めていただきました。
支援者として藤本氏から、原因企業チッソの歴史とご家族の歴史を振り返り、患者支援に携わるようになった背景、共生とは何かをお話いただきました。患者として佐藤スエミ氏に熊本県芦北町女島や結婚後の水俣市茂道での暮らし、連れ合いの水俣病裁判に対する思いを伺いました。大阪から佐伯氏が公健法の目的や水俣病認定基準の変遷、第2世代訴訟で何が議論されているかを分かりやすく解説いただきました。久間氏から水俣病公式確認50年の時の患者認定や裁判を通し、地元記者として水俣に向き合うとはどういうことかを話していただきました。新潟からは萩野氏に、新潟水俣病資料館の展示で行政認定義務付け訴訟の記載がなくなっていた問題、未認定患者の闘い、1977年判断条件の誤りについてお話を伺いました。医師として副島氏からは、社会を知らなかった学生時代と年を重ねた後の水俣の捉え方、そして若い人に期待するメッセージをいただきました。また、医師として長崎から調氏には、原爆被害と水俣病被害から問題の根源に人の尊厳を無視したことが大きいということを詳細な調査結果から示していただきました。
元水俣市職員の川野氏には、水俣病や産廃処分場問題、環境モデル都市などの関わりから自身にどう影響を与えたのかについて伺いました。また、写真家の石川氏からは、「私とユージン・スミスと水俣」と題して貴重な写真をみせていただきながらお話を伺いました。大学の講義では本来あり得ない内容の第22期水俣学講義となりえたのは講師の皆様のご協力によるものです。
新型コロナ感染症拡大防止のため本年度も遠隔授業での開催で、受講生は162名でした。来年度は学生の顔を見ながら講義できることを祈っております。講義の様子は何度か報道されました。
2023年度も秋学期(2023年9月~2024年1月)に開講いたします。