第15期公開講座「負の歴史をどう語り継ぐのか~次世代による負の遺産の伝承とは~」を開催いたしました。
戦争、原爆、水俣など経験した世代が高齢化し、経験者、被害者の多くが亡くなってきています。人類が経験したこと、負の歴史を次世代にどう語り継ぐのかが、各地で問題になってきています。たとえば、沖縄戦、ひめゆり部隊の経験を子供の世代が語り部として、見学者を案内するようになってきました。水俣病資料館でも、第一次訴訟の原告や認定患者の語り部は高齢で引退し、家族が代わって語り部として語るようになってきています。
負の遺産として、公害や戦争被害の経験や教訓をどのように語り継ぐのか、各地の取り組みを聞く中で、水俣病被害をどのように次世代に伝えていくのかを、水俣市民とともに考えていきたいと思い開催しました。
株式会社 がちゆん 代表取締役の国仲氏からは、沖縄戦を語り継いでいくために、聴衆者が聞き手になるだけでなく、語り手となってもらい、より具体的に考えていける実践を具体的に話してもらい、新たな視点を学ぶことができました。自然観察指導員三重連絡会事務局長谷崎氏からは四日市公害の現状、自然観察会などを通して現在の環境問題への取組なども話していただきました。山口被爆二世の会代表寺中氏からは、被爆二世として語るようになったきっかけ、被爆二世の手帳などを作成し、健康管理も含めた活動を伺いました。あおぞら財団理事長村松氏の回では、公害経験を伝える取り組み、また、公害被害当事者のもつ言葉の重みを知ることができました。最後に水俣・芦北公害研究サークルの高木氏からは、教育現場で実際に使用している資料や研修を受け入れる際の資料を基に具体的内容をお話ししていただきました。
水俣・芦北地域だけでなく、鹿児島県出水市や熊本市内から参加があり、教育関係者の方に多く参加いただきました。現場で抱える悩みなどの質問もあり、活発な議論が毎回なされ、アンケートにも深く学べたとご意見をいただくことができました。今回の公開講座は、延べ204人の方が受講、15人の方が全5回を受講され、修了証を発行しました。