海辺の物語
世界ではじめて水俣病を経験した不知火海。
水俣病事件が起こる前の不知火海は「魚湧く海」と比喩され、原田正純が「干潟は海と川と陸の三者が入り混ざるところで、文字通り“いのち”の発生の地である」(『いのちの旅−水俣学への軌跡』pp.256-257)というように干潟、海と川、手入れされた山々の恵が人びとの暮らしを豊かなものにしていました。
チッソが排水を停止したとされる1968年以降、水俣市茂道湾の海辺にどのような生き物が蘇ったでしょうか。水俣の市民や研究者が合同で「みなまた地域研究会」を2013年3月に立ち上げ、海辺や河口の生き物調査、排水溝などの水質や土壌、底質など調査を定点的に実施し、公害によっていったん破壊された環境がいかに再生しているかを検討する取り組みを行ってきました。ここでは、水俣の海辺で出会った生き物をご紹介します。この取り組みが、自らの環境を地元住民が守り、豊かにし、水俣病という負の遺産を将来に活かしていくことになると考えています。
生き物マップ
海辺の生き物たち一覧を見る
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- ダイダイイソカイメン
- 海綿動物の一種です。スポンジ状で岩に付着し、鮮やかなオレンジ色をしており、不定形で、表面から多くの突起を出し、その先端に大きな穴・・・
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- ウミニナ
- 殻長約4cmの巻貝で、貝の表面は石畳状に黒班列があります。干潮時の干潟表面をはい回っています。
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- オオヘビガイ
- 殻幅約5cmの巻貝。管状の殻が転石に付着しています。管状の殻は、最初は右巻きで、そのうちに不規則に巻きます。
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- イボニシ
- 殻長約3cmの巻貝。海辺の岩をみると沢山この巻き貝がついています。肉食性で、カキなどの二枚貝やフジツボ類の殻に穴をあけ、肉を食べ・・・
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- アラムシロ
- 殻長約1.5cmの巻貝。普段は海底の砂泥の中に潜っていて、長い水管から流れ込んでくる魚介類の死体の臭いを嗅ぎつけると、砂から出て・・・
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- ハボウキガイ
- 大きくなると殻長40cmを越える大型の二枚貝。砂泥底の表面から殻の後縁を出して埋在し、砂泥中の小石などに足糸で付着しています。・・・
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- マゴコロガイ
- マゴゴロガイは、殻長約1cmで、アナジャコ類と共生する二枚貝です。マゴゴロガイは、干潟に深い穴を掘って生活しているアナジャコの胸・・・
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- クチバガイ
- 殻長約2.5cmの二枚貝。干潟は、満潮時に海水に浸り、干潮時に現れる干潟を「潮間帯」といいます。この潮間帯の上部にクチバガイ(朽・・・
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- ウロコムシ類の一種
- 環形動物多毛綱のウロコムシ科は、体の背面にウロコをもつのが特徴です。
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- ツバサゴカイ
- ツバサゴカイ(環形動物多毛綱)は、最大体長25cmに達する大型の種です。砂泥中にU字状の皮膜質の棲管をつくってその中で暮らしてい・・・
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- テッポウエビ科の一種
- 体長約4cm。泥底に巣穴を作って生活しています。テッポウエビの仲間は、片方のハサミが大きく、外敵に出会ったりした時など、そのハサ・・・
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- イシガニ
- 甲幅約8cm。ガザミの仲間は、一番後ろの足の先が、遊泳に適したオール状になっています。
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- ミドリシャミセンガイ
- 最大殻長約4cm。シャミセンガイ類は、二枚の殻を持つ点で二枚貝類(軟体動 物)に似ていますが、それとは系統が異なる腕足動物(古生・・・
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- ムラサキクルマナマコ
- 体長約15cmになる黒色のナマコ(棘皮動物)です。体色と皮膚の下にある骨片が車輪の形をしていることから、この名が付けられています・・・
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- トゲモミジガイ
- 「カイ」と名付けられていますが、腕の長さが約10cmになるヒトデ(棘皮動物)の仲間です。